私の隣に座った彼は、



「ヒロがああ言ってますけど?」



と、ずいっと私の顔を覗き込んだ。



私は突然接近してきた彼の顔にドキッとして、あわてて目を逸らし、



「長くなりますけど…?」



と言った。



きっと私の顔は、涙をこらえているのと照れているのとで、真っ赤になっている。



もっとキレイな顔で再会を果たしたかったな。



「リュウくん、話なら宿でもできるし、せっかくだからみんなと遊んできていいよ」



正直、今は冷静に話せる自信がなかった。



彼は、私の気持ちを感じ取ったのか、ちょっと考えてから言った。



「…長くなるんなら、あとでじっくり聞きますか」



そして、私の頭をポンッとして立ち上がった。



「一緒に行かないの」



「私、ここで見てる」



私は、歩いていく彼の後姿を見送った。







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