突然すぎて、現実味がなかった。



でも、現実なんだ。



やっと終わったんだ。







実感はまだ先になりそうだけれど、心は確実に軽くなっていた。







「リュウくん!」



背中に呼びかけると、彼が立ち止まって振り返った。



「おかえり」



今できる精一杯の笑顔でそう言うと、彼は、優しく笑った。



「よくわかんないけど、ただいま」



大好きな、ちょっと低めの声。



緩やかな風が運んでくれたこの声を、もう失いたくない。



私は、胸がいっぱいになった。





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