その日の夜。



木下さんたちは私たちに気を使って、飲みに出かけて行った。



私と彼は、宿の庭に座って話をした。



暗い夜空にきらめく星が美しかった。



ゆるやかな風になびいて奏でられる、木々や草の音色が心地よかった。



その音に耳を澄ませ、私はこの数ヶ月の出来事を、ゆっくり語った。



彼は、私の隣で、ただ黙って耳を傾けていた。







途中、おじいさんが縁側に出てきて、沖縄民謡を歌い始めた。







私は、その三線の音色としわがれた歌声を、一生忘れないだろう。



















おわり











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