声

でも、このメロディは、彼からではない。



誰かな。



着信画面には、知らない番号が表示されている。



知らない番号のとき、いつもは知らんぷりをするけれど、ずっと鳴り続ける電話を見つめて、なんとなく通話ボタンを押した。



ピッ



「…もしもし」



すると、電話の向こうから、大きな声が聞こえてきた。



『ああ、もしもし、こちら浦浜警察署の安西と申します。川原ミオさんの携帯でしょうか』



…警察…？



やだ。



なんだろう。



こめかみの辺りが、一瞬、電気が走ったようにビリビリした。



『もしもし？聞こえますか？』



再びの大きな声でハッとして、あわてて答える。



「あ、はい、川原です」



『川原さん、ええと、川原…リュウヘイさん、はあなたのご主人で間違いありませんか？』



安西という男性は、ゆっくりと確かめるように、それでいてハッキリと、彼の名前を口にした。