「そうですけど…?」



もしかしたら全然たいしたことない用件かもしれないのに、声が震えてくる。



そんな私の気を知ってか知らずか、警察の人は淡々と言った。



『落ち着いて聞いていただきたいんですけど、先ほど川原リュウヘイさんが、車と衝突して病院に運ばれました』



「ええっ!」



思わず叫んだ自分の声の大きさに、びっくりした。



歩道を行き交う人たちも、こちらを見ている。



あわてて近くの細い路地に入り、電話を両手で覆うようにした。



「病院って、どこですか」



『谷川救急病院です』



彼の会社の近くだ。



「すぐに行きます」



と言うが早いか、私は手をあげてタクシーを止めた。





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