タクシーで15分ほど走ったところで、病院に着いた。



あわてて降りて、入口に向かう。



すると、自動ドアをくぐる直前に、白い雨合羽を着て立っていた男性に呼び止められた。



「川原ミオさんですか」



この声…―



さっきの電話の声だ。



足を止めて、男性のほうを向く。



電話の声がすごく大きかったので大男を想像したけれど、思ったよりも細くて小柄だ。



年齢は、だいたい私と同じくらいだろう。



入口には屋根があるのに雨合羽を着たままなんて、変わった人。



無意識にそんなことを考えながら無言でいると、



「浦浜署の安西です」



と、男性が名乗った。





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