「あ、どうも、川原です」



不意に声をかけられたので、ぎこちなくなってしまった。



でも安西という警察官は気にする様子もなく、



「では、行きましょうか」



と先に立って病院内に入って行った。



エレベーターに乗ったところで、安西さんが合羽を脱いだ。



合羽の下には、警察の制服を着ていた。



私の視線に気がついたのか、安西さんは、



「制服姿で入口に立っていると、他の来院者のみなさんがびっくりしますから」



と、少し照れたような笑いを浮かべて言った。



なるほど、そういうことだったのか。





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