エレベーターを3階で降りると、安西さんはスタスタと迷いなく歩いていく。



きっと、さっきまで病室にいたのだ。



わざわざ私を迎えに入口まで降りてきてくれたのかと思うと、申し訳ない。



安西さんが入っていった病室は、個室だった。



彼の様子がどんな感じなのかドキドキしながら、私も足を踏み入れる。



そして真っ先にベッドを見た。



けれどそこには、誰もいなかった。



病室には、安西さんのほかに、医師と思われる男性と看護師の女性が、ひとりずついる。



安西さんは、私にはお構いなしで、小さな声で医師と話し始めた。



私は、どうしたらいいのかわからなくなってしまった。



てっきり彼がベッドに寝ていると思ったのに。



どうしていないのだろう。



まさか…手術?



そんなにひどいのだろうか。



姿が見えないだけで悪い想像ばかりが膨らんで、私はどんどん不安になってきた。





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