ずいぶんあっさり帰るんだな、と思った。



でも考えてみれば、安西さんは仕事でここまで来ただけなのだから、当たり前かもしれない。



「警察のほうでは、明日は事故の状況を説明したり、ご主人からそのときの話を聞いたりしたいそうです」



と、医師が教えてくれた。



「そうですか」



安西さんがそれを私に直接言わなかったのは、私が動揺していると感じたからかもしれない。



事故処理だけではなく、そんな気遣いも必要なんて、警察っていうのは大変な仕事だ。



私は、安西さんが出て行ったドアを何気なく見た。



すると、検査を終えた彼が、ちょうど病室に戻ってきた。





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