自分で歩いてはいるけれど、とてもしんどそうだ。



頭の包帯が、痛々しい。



「リュウくん、大丈夫?」



ベッドに横になろうとする彼に話しかけてみたけれど、彼は何も言わない。



かわりに、付き添ってきた看護師さんが言った。



「鎮痛剤が効き始めたのと、頭を打たれていらっしゃるのとで、ぼんやりしているのだと思いますよ」



「…そうですか」



見ると、彼はすでに布団をかぶって、目を閉じている。



(早っ!)


と思ったが、もちろん言わなかった。



たいした怪我ではなさそうだというだけで、良かったじゃない。



今日はこのまま、寝かせてあげよう。



眉間にシワを寄せながら苦しそうに眠る彼を10分くらい見守って、私は病室を出た。





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