そんな不自然な日々だけれど、ひとつだけよかったと思うことがある。



それは、リュウくんが底抜けに明るい、ということだ。



リュウくんは、毎日やって来る見知らぬ女の存在にも慣れたらしく、私に向かって「だれ?」と言ったときのような、冷たい視線を投げることはなくなった。



それどころか昨日からは、「ミオちゃん、ミオちゃん」と、なついてくるようにさえなった。



さすが8歳、順応がはやい。



この無邪気な明るさが、私たちの気持ちを軽くしてくれている気がする。



普通に考えれば、重い空気になってもおかしくない状況なのに。



現に土曜日の夜、川原の実家に全員集合したときの空気といったら、耐え難いものがあった。



誰もが私と同じように、この事実を受け入れられずに戸惑っていたのだ。





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