偽りを愛してどうなる
 何キロも走った。

 もうここがどこだか分からなくなった。

 見る景色が違った。



「お姉さん」

 近くで声がかかった。

「はい?」

 それは男の子で、落ち着いた金髪をしていた。耳にはピアスがついていて、顔立ちもかっこいいと思う。

「元気ないですね」

 好きだと思った。

 友紀くんは一度もこんな心配してくれなかった。だからだろうか。

「うん、ちょっと、ね」

「偽らない君も、僕は好きだよ」
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