偽りを愛してどうなる
 一通のメールが届いた。

『今日俺の家来て』

 そんなメールは私の心を踊らせる。胸の奥では分かっていても、どうしても嬉しがってしまう。

『分かった』

 それだけ打ち返してからスマホを閉ざした。

 短めのスカートを履いて、髪の毛もくるくるに巻いて。

 そんな生まれ変わった自分を見て、嗚呼、私はこんな偽ってるんだな、とそう思ってから家を出た。

 歩いて数分、暗くなり始めた夜の道。

 どうして私はあんな人のところに行こうとしてるんだろう。

 疑問を浮かべながらも、結局何ひとつ解決案が浮かばないまま、家に辿り着いてしまった。

 ――ピーンポーン……。

 指をゆっくりと押し出して鳴らすと、友紀くんがドアから顔を出した。

「入っていいよ」

「うん」

 もう「お邪魔します」のひと言もなくなった。
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