どらま
【タイプじゃありません!!!】
「そう言ってたのに……。
何でタイプじゃない俺と結婚したんだ?」
あれから10年後。私は昭空先生と結婚し、私達の物語のドラマを一緒に見ていた。
「それは…」
「本当はタイプだったんだろ?」
「違います!!!
そっちがタイプだったんでしょ?」
「1ミリもタイプじゃない!!!」
「1ミリもって……ひど」
「まだ脚本家を続けたいと思わせてくれた人だからな」
昭空先生は10年後の今もドラマの脚本を書いている。
「もしかして。初めて会った時から俺を好きだったとか?」
「………。
この前の短編ドラマどうだった? 面白かったでしょ?」
「面白いな」
「短編ドラマが!!!」
「君が。
短編ドラマは面白くない」
私もまだ脚本家を続けている。
脚本を書くのが好きだから。
あなたの『面白いな。君のドラマ』が聞きたいから。