あの雨の日、橋から飛び降りようとしたのを助けてくれたのは"君"でした

次の日になると…っていっても今日の夜中の1時だったんだけどな。
いつもと変わらない日常でまるであの時の出来事は夢だったのではないかと思ってしまうくらいだった。
それが夢ではないとわかったのは放課後のことだった。
僕は帰るため荷物をまとめリュックを背負い、昇降口へと歩いて行く。
昇降口に着いて靴を履き替えて僕は帰ろうと歩き出した。
すると……。
「みーつけた！」
昇降口の出てすぐのところに──彼女がいた。
僕を見つけてニコッと笑うと小走りで僕のところまで走ってきた。
「君、名前くらい言ってから帰りなよね！」
と彼女はぷくっと頬を膨らませて言った。
やっぱり同じ高校だったのか。
僕は彼女の発言に少しイラっとした。
だって彼女は……。
「今度会う時に返してよ！って言うだけ言って走って帰ったんじゃないか！君こそ名前くらい言ってから帰ってくださいよ！」
僕はそう言うと鞄の中から折りたたみ傘とカーディガンを取り彼女に渡した。