あの雨の日、橋から飛び降りようとしたのを助けてくれたのは"君"でした
「…あの時は傘とカーディガンありがとうございました」
彼女にそう言うと嬉しそうに笑って受け取った。
「どういたしまして!まぁ確かにあの時は私がいけなかったよね。ごめんね、後輩くん」
「本当ですよ!それに僕は後輩くんっていう名前じゃ……」
ん、待てよ。今、後輩くんって言ったか?
僕は恐る恐る彼女の制服の襟を見た。
「じゃあ名前なんていうの?」
少しイタズラっぽく聞く彼女に僕は冷や汗がたらっと流れる。
「あ、えっと……」
彼女は僕より1学年上の先輩だった。
僕は下を向きながら答える。
「葉山……優星、です」
「優星?わかった!優星ね!私は……あやの!よろしく、優星」
あやの……?名前かな?苗字かな?
なんか少し間が……あったような気がしたけど気のせいかな?
それより……タメ口のことは気にしてないみたい……。
よかった。
「はい、よろしくお願いします…あやの先輩」
僕がそう言うとあやの先輩はガシッと僕の手を掴み、スタスタと歩き出した。
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