あの雨の日、橋から飛び降りようとしたのを助けてくれたのは"君"でした
誕生日と雨
今日は幸希先輩の誕生日。
そしてあの日みたいに雨が降っていた。
「止むといいな…」
早く……早く雨が止んで欲しい。
そう思いながら僕は幸希先輩といつもの待ち合わせ場所へと行った。
いつもより早めに出たんだけど幸希先輩の方が早く着いていた。
学校がない日とかはいつも僕の方が早いのに……。
よりによって今日、僕が遅いなんて…。
僕はすぐに幸希先輩の元へと駆け寄った。
「幸希先輩!」
僕が声をかけるとスマホを見ていた顔を上げて僕の方を見てニコッと笑ってくれた。
「おはよ、優星」
「おはようございます!あの、お誕生日おめでとうございます!!」
「ありがとう」
幸希先輩が少し動いた時に一瞬だけ見えてしまった。
「…っ!」
首のところに痣があるのを……。
「先輩……」
「…今日はどこ行くの?君がスケジュール立てたんでしょ?」
僕が何かを聞こうとしていたのかを知っているかのようだった幸希先輩はわざと話を逸らしたように見えた。