あの雨の日、橋から飛び降りようとしたのを助けてくれたのは"君"でした
それなのに僕はいつだって……真実から目を逸らして、チャンスも逃している。
そんな僕には貴方を救うことなんてできないよね?
その日の夜はまるであの日の時みたいに雨は絶え間なく降り続き、痛いほど叩きつけられみたいな感覚だった。
この雨は…まるで永遠に降り続くかのようだった。
僕はそのまま真っ直ぐ家に帰った。
そしてなかなか眠りに付けない夜だった。
そんな時、僕のスマホが鳴った。
その瞬間……僕の胸はざわめき、何かとても嫌な予感がした。
僕は恐る恐るスマホを手に取り、電話に出ると…。
《 優星?落ち着いて聞けよ!幸希が……幸希が……》
僕はまた無意識に家を飛び出して、走っていた。

その日の夜はまるであの日の時みたいに雨は降っていて、あの時に僕は思ったんだ。
雨が人の心を他界に誘うような寂しい雨だったって……。
幸希先輩……っ、幸希先輩幸希先輩!
幸希先輩っ!!
『優星』
幸希先輩っ……。
《 幸希が……橋から飛び降りたって。打ちどころが良かったから息はまだある。でも…危ない状態だって》
ねぇ、幸希先輩。
本当は……本当は……助けて欲しかったんですよね?
誰でもいいから……。
僕はいつだって……傷つくのが遅すぎた……。
大切な人を守れないなんて僕は……無力だ。

冬が終わりに近づくそんな雨の日のことだった。
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