あの雨の日、橋から飛び降りようとしたのを助けてくれたのは"君"でした
そしてあっちに行ったりこっちに行ったりといろいろと連れ回されて夕飯の時間になるとあやの先輩は僕におすすめのお店だと紹介してくれた。
そのお店は長年続けてきたのか少しボロボロだけど味は美味しかった。
あやの先輩はとても楽しそうだった。

「美味しかったね、優星」
「はい、ごちそうさまでした」
あやの先輩は満足そうにしていた。
僕はあやの先輩の笑っている顔を見つめていると何やら勘違いしたのだろう。
あやの先輩は鞄からスッとある物を取り出した。
「はい、約束の報酬だよ」
そう言って渡されたのは茶色の封筒に入ったお金だった。
僕が見すぎたせいでお金を催促してると勘違いしてしまったみたいだ。
でもお金は大事だ。
遠慮なく締まっておこう。
僕は鞄の中にお金が入った茶封筒をしまう。
「ありがとうございます、あやの先輩」
僕がお礼を言うとあやの先輩は首を横に振った。
「ううん、お礼を言わなきゃいけないのは私の方だよ。こちらこそありがとね、優星」
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