あの雨の日、橋から飛び降りようとしたのを助けてくれたのは"君"でした

死ぬための道 幸希side


あの雨の日の夜。
私は彼に名前を聞かずに帰ってしまったことを酷く後悔した。
連絡先も交換してないからな……。
1年の下駄箱で待ってればいいか。
あの子を見る限り1年ではそんなに知られてなさそうだし。
そう思った私をまた後悔した。
だって…結構目立ってたし騒がれていたから。
悪い噂とか広がらないといいけど。
そしてちゃんと彼に会って名前も知ることができた。
優星…か。
優しい星。
あの子にぴったりな素敵な名前だな。
そう思った。
私は名前は名乗らなかった。
苗字だけ伝えた。
『あやの先輩!』
きっと下の名前だと勘違いしていそうだけどまあいいか。
私は優星と並んで歩いた。
それからというもののいろんなお店に行った。
今まで入ったことのないお店にも…たくさん行った。
私の計画が…始まった。

『美味しかったね、優星』
『はい、ごちそうさまでした』
優星の笑った顔を見て私はきっと満足そうに笑ってしまった。
そしてふっと視線に気づく。
…もう解散かな。
私は鞄の中から約束のものを取りだし、優星に渡した。
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