あの雨の日、橋から飛び降りようとしたのを助けてくれたのは"君"でした
「うん、可愛い!」
星を何度も何度も触る。
優星のものになった気分だった。
「とっても似合ってます」
そう笑って言った優星に私は「ありがとう」とニコッと笑った。
「雨が強くなる前に帰らないとね」
と切り出した。
きっともうこれ以上は一緒にはいられない。
それからあと一つだけ。
君に聞きたかった。
「さ……」
「今日も楽しかった!ありがとう!……最後にさ…優星はもう死のうなんて思わないよね?」
君がもうあの日みたいに死のうなんて考えていないか不安だった。
ずっと心の片隅にしまってあった。
今聞かなければ。
だってもう私には時間がないから。
ねぇ、優星。
君はまだ死にたいって思ってる?
そして返ってきた答えは──。
「はい、幸希先輩が僕を変えてくれたんです。だからもう僕は前を向いて生きることができます!ありがとうございます、幸希先輩」
その言葉には私は少し驚いた。
私が優星のことを変えたの?
私は優星に変えられたけど貴方のことは私が変えたの?
それに驚いたの。
でもそう知ったら泣きそうになった。
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