あの雨の日、橋から飛び降りようとしたのを助けてくれたのは"君"でした
そう思いながら私はお母様の横を通り過ぎようとした。
「…でよっ」
「?」
小さな声でなにやら呟くお母様の声は私の耳には届かなくて……。
「……」
ただわかるのは…今、お母様は私に対しての怒りと憎しみ……そして…嫉妬が見えた。
…お母様?
いつもより私のことを憎んでいる?
毎日こんなだからわかる。
今日の朝も痣ができたのにな…。
さすがにもう怪我とかはしたくないのに。
私は早く自室へと戻ってしまおうと思って前を向いて歩き出そうとしたその時……。
「なんであんたなんかが幸せそうな顔をしてるのよ!!」
そう怒鳴りつけ、私の髪を思いっきり引っ張った。
私は咄嗟のことで何も出来ず床に勢いよく尻もち着いた。
「……っう!!」
痛みを必死に堪えていた。
そんなことなんかどうでもいいみたいにお母様は私をドンッと押し倒して私の首にそっと手を回した。
「……っ……!!」
強く……強く、私の首をしめるお母様。
そのお母様の表情は悲しそうだった。
「どうしてあんたが私より幸せそうにしてるの?どうしてあんたが……っ」
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