あの雨の日、橋から飛び降りようとしたのを助けてくれたのは"君"でした
と、とってもとっても驚かれた。
…そんなに驚くことかな?
僕は冷蔵庫を空けて食材の確認をしながら答えた。
「はい、一応一通りはできますよ」
母さんが亡くなってからは僕は頑張って料理を覚えた。
あの時は父さんも今にでもその後を追ってしまいそうな勢いだった。
ご飯もろくに食べずにただ…母さんの仏壇の前に座っていた。
だから僕が父さんのために料理を作ろうって思って母さんの見よう見まねで作ってみた。
最初は焦げが多かったし形も歪だったけどもう10年以上経つと結構上達してるもんだな。
と1人で昔のことに浸っていると…。
「私も今日ここで食べてっていい?」
僕の横にいつの間に来たのか。
あやの先輩は僕にキラキラした目を向けてきた。
ず、ずるい……っ!!
そんなことされたら可愛くて断れるわけないじゃないか……!!
「いい、ですよ」
「わーい!やったー!すっごく楽しみ!」
あやの先輩はこれでもかと嬉しそうに笑って見せた。
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