あの雨の日、橋から飛び降りようとしたのを助けてくれたのは"君"でした
あやの先輩は律儀な方だ。
なにかする度に「ありがとう」と言う。
でもあやの先輩に言われる「ありがとう」はなんだか嬉しい…。
「あ!今度はあれがいい!射的!」
指差す先には射的の屋台があった。
あやの先輩は落ち着きのない人だな…。
僕は父さんみたいな眼差しであやの先輩を見守る。
射的の前につくとあやの先輩はキラーンと獲物を見つけて目で鋭く睨みつけていた。
そんなに欲しいものがあったのか?
僕は射的の景品を見てみたがあやの先輩がどれを狙っているのか、まったく検討がつかなかった。
だからあやの先輩に聞いてみた。
「何か欲しいものでもあるんですか?」
「あのキーホルダーが欲しいの」
あやの先輩が指さす先には何やら少し小さめのキーホルダーが見えた。
あれを狙うのはさすがに難しそうだな…。
それにあやの先輩って初心者…だよな?
お祭りに来ること自体が初めてそうだし。
だから僕はあやの先輩に提案してみた。
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