あの雨の日、橋から飛び降りようとしたのを助けてくれたのは"君"でした
急に意識を失って倒れた僕のことをすごく心配してくれていた。
本当に…優しすぎるよ、あやの先輩。
「じゃあ私は帰らないと!」
「え?もう遅いですし泊まって行かれては?」
と僕が相談するとあやの先輩は苦笑いで言った。
「家に帰らないと心配かけてしまうから…」
そう言ったあやの先輩はなんだか寂しそうだった。
待っていてくれる人がいるのにどうして寂しそうな顔をするの…あやの先輩。
「じゃあ途中まで送ります」
「ありがとう」
その日の別れ際にあやの先輩は報酬のお金といつも通りの茶封筒を渡した。
けど僕は受け取らなかった。
だって今日は僕のせいで遊べなかったし…。
だから受け取ることはなかった。
あやの先輩は「そっか…」と言って帰って行った。
あやの先輩の考えてること…知りたいな。

次の日。
席で西嶋と話しているとクラスメイトの会話が聞こえてきた。
「ねぇこの雑誌に載ってる篠野琳斗様ってかっこよくない?この歳にしてもうファッションブランド立ち上げてるんだって!」
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