あの雨の日、橋から飛び降りようとしたのを助けてくれたのは"君"でした
もう逃げない
結局あの後も僕はあやの先輩と放課後遊ぶことはなく、あの時いた堀北栄知と一緒にどこかへ行ってしまったあやの先輩。
そして僕は…。
「父さん」
「ん、どうした?優星」
「あやの先輩ってもしかして綾野グループの綾野幸希…なの?」
僕は父さんに真実を確かめに行った。
あやの先輩のことを……ちゃんと知りたくて。
「それは…あの子が自分から言ったのか?」
父さんは真っ直ぐ僕の目を見つめていた。
真剣な顔だった。
だから嘘はつけなかった。
「いや、偶然知ったような感じで…まだ確実ではない」
本当のことだ。
だって僕はあやの先輩のことを心のどこかで綾野グループの綾野幸希じゃないことを願ってる。
でも……あやの先輩があの綾野幸希ならいくつも納得のいく答えがでていた。
本当にあやの先輩が綾野幸希なら僕は……。
「それは俺の口からは言えないな。あの子に聞いてみろ」
……直接本人に聞けなんて…できるわけないだろ。