あの雨の日、橋から飛び降りようとしたのを助けてくれたのは"君"でした
どうして見抜けなかったんだ!
好きなのに…あやの先輩のことが……好き、なのに……っ!!
「今保健室に運びますからね!」
そう言って僕はあやの先輩をお姫様抱っこして廊下を走って行く。
昇降口の廊下を真っ直ぐ言って左に曲がったところに保健室はある。
「大丈夫ですからね!」
「……っ」
あやの先輩…貴方は何に苦しんでるんですか?

「体調悪くなったみたいで急に倒れて……」
保健室の扉を勢いよく開けてそう言うと保険の先生は僕に抱えられた生徒を見て、
「あら、綾野ちゃんじゃない」
と言った。
まるでよく知っている人みたいな言い方と口ぶり。
保健室には頻繁に出入りするのか?
「ここに寝かせてちょうだい」
そう言って一番近くの空いていたベッドへと誘導する先生に従い僕はあやの先輩をそっとベットに下ろした。
あやの先輩…。
「最近よく体調崩して頻繁に来るのよ」
「…そうなんですか?」
「1週間くらい前だったかしら?」
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