あの雨の日、橋から飛び降りようとしたのを助けてくれたのは"君"でした
私は目を見開いて自分でも驚くくらい大きな声で言ってしまった。
「なにこれめちゃくちゃ美味しい!!」
優星の作ったマフィンはとても美味しかった。
プロが作ったみたいな完璧な味だった。
私がそう言うと優星はとろけるように笑った。
「よかった」
「…っ!!」
その笑顔に私は胸がドキッと高鳴った。
その日から私は優星の友達として隣にいるようになった。
高校も優星と同じとこへ進み偶然同じクラスになると私は心の底から大喜びした。
でも優星は高校に入ると部活もやらずにいつも1人でいるようになった。
私ともあまり話すことはなくて、いつも私から声をかけていた。
そんなある日だった。
優星が楽しそうに…笑っている姿を見たのは──。
それがなぜなのか…あの夏祭りの時に私は知ることになった。
優星があの綾野グループのご令嬢である綾野幸希と歩いて楽しそうにしている姿を見て私は全て理解した。
「あやの先輩!」
とても楽しそうにあの人と夏祭りを楽しんでいた。
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