あの雨の日、橋から飛び降りようとしたのを助けてくれたのは"君"でした
違う……。
私は…"何もしない"という選択を選んだんだ。
自分で……。
優星の隣にいたかったから。
もし優星に好きだと伝えても優星に断られたらって考えると怖くなって私は友達でいることを選んだんだ。
何もしてないんじゃなくて私は……何もしないことを選んだ。
それで優星の隣にいられるならって…。
安全な道を選んだの。
私が…臆病だったから……っ。
本当はわかってた。
優星が楽しそうに笑うようになったのはあの人…綾野先輩のお陰だということ。
だから私は……応援するよ。
例え……優星のその恋が険しくて実らないかもしれないけれど私は最後の最後まで…貴方の恋を応援するよ、優星。
だって貴方は私の──好きな人なんだから。

「優星」
「……」
私は何度でも貴方の背中を押すよ。
「ご飯食べよ。綾野先輩が帰ってきたらその顔じゃ見せられないでしょ?」
今の優星の顔を見たらきっと綾野先輩は驚くんだろうな。
だってきっとあの人も──。
「優星、綾野先輩ならきっと優星にまた会いに来るよ。だって…」
──優星のことが好きなはずだから。
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