あの雨の日、橋から飛び降りようとしたのを助けてくれたのは"君"でした
「心当たりないですけど?」
僕がそう言うと堀北栄知はじとーっと睨んできた。
本当に心当たりないのに……!
「幸希の父親は厳しい人だからね。本当は幸希は公立じゃなくて有名な私立に行かなきゃいけなかったんだよ。それなのに幸希がどうしても今通ってる高校がいいって押し切って勝手に受験したんだよ」
そう……だったんだ。
「まあその時はあまり父親も強くは言わなかったみたいだけどね。それで条件をつけられたんだ」
「条件…ですか?」
「そう。婚約者である俺と必ず毎日夜ご飯食べること。まあ要するに仲を深めろってことね。そしてあまりその学校の男と仲良くするなって。上辺だけの付き合いにしろっていう条件」
そんな条件があったんだ…。
待てよ?
「婚約者と毎日夜ご飯食べることって…食べてないですよね?」
だって僕と食べてるんだから。
「そう。それもバレた原因だけど父親がどうやら幸希の身辺調査を部下に命じたんだ」
その話を聞いた瞬間、僕は理解した。
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