あの雨の日、橋から飛び降りようとしたのを助けてくれたのは"君"でした
冬の訪れ
気がつくと季節は冬になっていた。
幸希先輩と出会ってもう半年以上経つのか。
まだ僕は昨日のことのようで鮮明に覚えている。
あの雨の日、僕が橋から飛び降りようとしなければ幸希先輩には出会えてなかったんだよな…。
でも本当に謎が多いよな、幸希先輩って。
『ねぇ、君……。君…死ぬの?』
あの大雨で深夜2時を回っていたのにどうして出歩いていたのかな?
それに…結局幸希先輩の家のことも話してもらえてないな。
学校生活のこともそうだ。
幸希先輩のこと…知らないことばかりだ。
幸希先輩は僕のことをたくさん知ってるのになんかずるいな……。
そう思っていると…。
「今日は優星の方が早かったね」
と僕の隣に来たのは幸希先輩だ。
「休日はいつも僕の方が早いですよ!」
僕は胸を張って答えた。
クスクスと笑っている幸希先輩。
幸希先輩は相変わらずよく笑うな…。
まあその笑顔も好きなんだけど……。
「今日はどこ行こうかな〜!お店もほとんど行ったしね」