私のヒーロー
でもなんとなく親しんだ関係ではあるということは、2人の口ぶりからなんとなく想像してはいたけど、まさかの同じ大学だったなんて。
「もう夜だけど、寝れる?」
しばらく話していたらいつの間に夜になっていた。先生が聞いてきたけど、寝れますとだけ言って毛布にくるまった。でも眠れなくて、泣いた。実はあと三月の真ん中くらいに演劇部のコンクールがあるのだ。間に合うかも分からない、間に合わないかもしれない。それが悲しくて。部のみんなに置いていかれることが怖くて。その事が心と頭を支配して、机に置かれたペンには気が付かなかった。


《悠真side》
仲良くなりたい。そう思うほど、秋華ちゃんの退院が怖くなっていた。実際はまだ彼女は敬語で話しているし、患者と医師の間なら当然かもしれない。でも彼女とはタメ口で話したいし、ずっと一緒にいたい。仲良くなりたい、だから俺はあの後、秋華ちゃんの病室にわざとペンを忘れていった。また話す口実を作るために。そして夜、ペンを忘れて取りに行くふりをして話そうと思った。
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