私のヒーロー
型抜きを使って生地を抜いてくれた。
悠真は変わらず呼吸器内科勤めだから休みが少ない。一緒にいられる時間が少ないのは寂しいけれど、家で発作が起こっても悠真がいると少し心強い。
幸せだ。好きな人と一緒にいられて、愛する人がいて。悪い事がない訳では無い。悠真はたまに靴下を脱ぎっぱなしにして寝てるし、瑚夏の夜泣きで寝られなかった夜は数え切れない。それでも、二人がいるだけで心が軽くなる。喘息は治っていなくても、この先に大きな壁があっても、きっと大丈夫だ。私にはヒーローがいる、仲間がいる。守りたい子もいる。この気持ちがなくならない限り、私は生き続けるだろう。どんなに苦しくても、悲しくても。
そんなことを思いながら、私は悠真のせいでちょっぴり焦げてしまったクッキーを食べた。
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