極上イケメンと溺甘同居。 〜何もかも失った私が、イケメン建築士に毎日愛された結果。〜
「……っせ、先輩。何言ってるんですか!?」
「え、なんか私」
言ったかな、と美園さんに言ったが途中でそれは言うことができなかった。
まだ、梶原さんが目の前にいたからだ。それに彼は紙を差し出す。それは、イベントで記入したものだった。
「……あの、梶原さん? どうされました?」
「梶原優澄。三十七歳。職業、一級建築士です」
「……え?」
「今、真っ先に結婚したいって言いましたよね? なら、俺と結婚してください」
そう言った梶原さんは、私にそう言って微笑んだ。
まぁ、ここで物語のヒロインなら頷くところなのだろうけど……
「……あの、梶原さんからかってますか?」
「揶揄うわけないでしょう? 一応、婚活イベントに来ているので結婚願望大有りです。それに、ここの会社、注意書きに【サクラ】いないこと謳ってるんだから俺が揶揄いとか詐欺とかしたらヤバいでしょう?」
「た、確かに……」
それはそうだと思った私は「まず、話だけでも聞きます」とだけ言った。
「せ、先輩っ……いいんですか?」
「うん。まぁ、なんとかなるよ……それに梶原さんがいい人ってことは知ってるでしょ? 何度も会ってるし話もしてるから」
「先輩がいいならいいですけど。何かあったら、連絡してくださいよ。私駆けつけますので!」
美園ちゃんはそう言うと「私、次の支度あるので行きますねー」と繋げて言ってスタッフルームの方へ行ってしまった。