全てを恨んで死んだ悪役令嬢は、巻き戻ったようなので今度は助けてくれた執事を幸せにするために生きることにします
***
そういうわけで翌日、私とサイラスは街までやって来た。
サイラスはいつもの執事服ではなく、白いシャツにダークグレーのベスト、黒のズボンというシンプルな格好をしている。
私のほうも街に出るには邪魔だろうと思い、いつも着ているような煌びやかなドレスはやめにして、薄緑色のワンピースにショールを羽織るだけの恰好をしてきた。
「お嬢様、私のわがままに付き合っていただいてありがとうございます」
「いいえ、こんなのちっともわがままではないわ。どこか行きたい場所があるの?」
「特に行きたい場所はないのですが……お店を見て回りたいです」
「わかった。じゃあ、入りたいお店があったら言ってちょうだい。欲しいものがあったら何でも買ってあげるわ」
そう言うと、サイラスは素直に「ありがとうございます」とお礼を言った。
あまりに簡単なお願いに拍子抜けしてしまったが、考えてみれば街歩きもいいかもしれない。
これならサイラスの好きそうなお店に入ってたくさんプレゼントを買ってあげることができる。私があげたいものを押しつけるよりもずっといいはずだ。
「あ、お嬢様! ここに入りたいです!」
サイラスが早速一軒のお店の前で声をあげた。
「いいわよ。……って、え? ここに入りたいの?」
「はい! 行きましょう、お嬢様」
サイラスは笑顔で手招きする。クリーム色の壁に赤い屋根の、何とも可愛らしい外観。明らかに女性向けのアクセサリーのお店だった。
誰かにあげたい物でもあるのだろうか。姉妹……はいなかったはずだから、もしかすると恋人とか? 私としてはサイラス本人が使う物をプレゼントしたかったけれど、まぁそれでもいいかと自分を納得させる。
店の中は若い女の子たちで混み合っていた。彼女たちは棚の上に並んだ色鮮やかな髪飾りやアクセサリーを見て、楽しげに話している。
そういうわけで翌日、私とサイラスは街までやって来た。
サイラスはいつもの執事服ではなく、白いシャツにダークグレーのベスト、黒のズボンというシンプルな格好をしている。
私のほうも街に出るには邪魔だろうと思い、いつも着ているような煌びやかなドレスはやめにして、薄緑色のワンピースにショールを羽織るだけの恰好をしてきた。
「お嬢様、私のわがままに付き合っていただいてありがとうございます」
「いいえ、こんなのちっともわがままではないわ。どこか行きたい場所があるの?」
「特に行きたい場所はないのですが……お店を見て回りたいです」
「わかった。じゃあ、入りたいお店があったら言ってちょうだい。欲しいものがあったら何でも買ってあげるわ」
そう言うと、サイラスは素直に「ありがとうございます」とお礼を言った。
あまりに簡単なお願いに拍子抜けしてしまったが、考えてみれば街歩きもいいかもしれない。
これならサイラスの好きそうなお店に入ってたくさんプレゼントを買ってあげることができる。私があげたいものを押しつけるよりもずっといいはずだ。
「あ、お嬢様! ここに入りたいです!」
サイラスが早速一軒のお店の前で声をあげた。
「いいわよ。……って、え? ここに入りたいの?」
「はい! 行きましょう、お嬢様」
サイラスは笑顔で手招きする。クリーム色の壁に赤い屋根の、何とも可愛らしい外観。明らかに女性向けのアクセサリーのお店だった。
誰かにあげたい物でもあるのだろうか。姉妹……はいなかったはずだから、もしかすると恋人とか? 私としてはサイラス本人が使う物をプレゼントしたかったけれど、まぁそれでもいいかと自分を納得させる。
店の中は若い女の子たちで混み合っていた。彼女たちは棚の上に並んだ色鮮やかな髪飾りやアクセサリーを見て、楽しげに話している。