全てを恨んで死んだ悪役令嬢は、巻き戻ったようなので今度は助けてくれた執事を幸せにするために生きることにします
***
窓の外から聞こえてくる風の音で目を覚ました。
ぼんやりしながら辺りを見回し、ソファの上でうとうとしてそのまま眠ってしまったことを思い出す。
窓の外はすでに夕焼け色に染まっていた。随分長い時間眠っていたらしい。
さっきまで長い夢を見ていた気がするのに、内容が思い出せない。なんだかひどく悲しい夢だった気がする。
無意識に首元に手を遣って撫で、その行動に首を傾げる。
その時、誰かが扉を叩く音がした。
使用人仲間の誰かだろうと思い気軽に返事をすると、顔を出したのはお嬢様だった。
「サイラス、いる? 突然ごめんなさい」
「お嬢様? どうなさったんですか。こんなところへ」
慌てて立ち上がって扉のほうまで行くとお嬢様は嬉しそうに笑って私の手を取った。お嬢様はそのままぎゅっと私の手を握りしめる。
「お休みの日なのにごめんなさいね。なんだか急に会いたくなっちゃったの」
「今朝会ったばかりなのにですか?」
お嬢様の言葉がおかしくて、つい笑ってしまう。
昨日は夜遅くまで一緒に祭典が終わった後の街を歩いて、今朝も顔を合わせたばかりだというのに。まるで長らく会っていなかったかのような言い方だ。
私がくすくす笑うのを見て、お嬢様は不満げな顔をする。
「だめなの? 今朝も会ったけどまた会いたくなっちゃったの」
「いいえ、そうおっしゃっていただけて光栄です。けれどお呼びしてくだされば、すぐにうかがったのに」
「私が会いたいんだから、私が会いに行くわ」
お嬢様は機嫌を直したようで、私の手を両手でつかんだまま、ぱたぱた動かしながら言う。
その無邪気な様子を可愛らしいなと思いながら見ていると、お嬢様はふいに真剣な顔になった。
窓の外から聞こえてくる風の音で目を覚ました。
ぼんやりしながら辺りを見回し、ソファの上でうとうとしてそのまま眠ってしまったことを思い出す。
窓の外はすでに夕焼け色に染まっていた。随分長い時間眠っていたらしい。
さっきまで長い夢を見ていた気がするのに、内容が思い出せない。なんだかひどく悲しい夢だった気がする。
無意識に首元に手を遣って撫で、その行動に首を傾げる。
その時、誰かが扉を叩く音がした。
使用人仲間の誰かだろうと思い気軽に返事をすると、顔を出したのはお嬢様だった。
「サイラス、いる? 突然ごめんなさい」
「お嬢様? どうなさったんですか。こんなところへ」
慌てて立ち上がって扉のほうまで行くとお嬢様は嬉しそうに笑って私の手を取った。お嬢様はそのままぎゅっと私の手を握りしめる。
「お休みの日なのにごめんなさいね。なんだか急に会いたくなっちゃったの」
「今朝会ったばかりなのにですか?」
お嬢様の言葉がおかしくて、つい笑ってしまう。
昨日は夜遅くまで一緒に祭典が終わった後の街を歩いて、今朝も顔を合わせたばかりだというのに。まるで長らく会っていなかったかのような言い方だ。
私がくすくす笑うのを見て、お嬢様は不満げな顔をする。
「だめなの? 今朝も会ったけどまた会いたくなっちゃったの」
「いいえ、そうおっしゃっていただけて光栄です。けれどお呼びしてくだされば、すぐにうかがったのに」
「私が会いたいんだから、私が会いに行くわ」
お嬢様は機嫌を直したようで、私の手を両手でつかんだまま、ぱたぱた動かしながら言う。
その無邪気な様子を可愛らしいなと思いながら見ていると、お嬢様はふいに真剣な顔になった。