全てを恨んで死んだ悪役令嬢は、巻き戻ったようなので今度は助けてくれた執事を幸せにするために生きることにします
「わかってるの、それは……」
サイラスが私を好いてくれているのは知っている。そうでなければ命がけで助けてくれるはずがない。
けれど私は、彼は幼い頃から一緒だった私が処刑されることになり、兄のような慈愛で身代わりになってくれたのだと思っていた。
エノーラをはじめとしたご令嬢たちにサイラスは私が好きなのではないかと言われても、そんなはずないと端から否定した。
サイラスがいつも当たり前のように私を尊重して大切にしてくれるから、そこに「お嬢様」に対する以上の感情があるなんて考えもしなかったのだ。
なかなか言葉を継げない私を見て、サイラスは我に返ったように言う。
「お嬢様、すみません。執事の分際で困らせるようなことを……。少し頭を冷やしてきます」
「あ……! 待って! その、サイラスは私のこと好きなの?」
背を向けて出ていこうとするサイラスの腕を、今度は私がつかんで引き止める。サイラスはすっかり動揺して、目を泳がせている。
それから観念したように言った。
「ずっと……お慕いしておりました」
その一言で一気に顔が熱くなるのを感じた。すごく驚いて、信じられなくて、けれど心の奥から喜びが込み上げてくる。
なんでだろう。すごく嬉しい。
まだ王子の婚約者だった頃、気まぐれに甘い言葉をかけられた時よりも、ずっとずっと嬉しい。
サイラスが私を好いてくれているのは知っている。そうでなければ命がけで助けてくれるはずがない。
けれど私は、彼は幼い頃から一緒だった私が処刑されることになり、兄のような慈愛で身代わりになってくれたのだと思っていた。
エノーラをはじめとしたご令嬢たちにサイラスは私が好きなのではないかと言われても、そんなはずないと端から否定した。
サイラスがいつも当たり前のように私を尊重して大切にしてくれるから、そこに「お嬢様」に対する以上の感情があるなんて考えもしなかったのだ。
なかなか言葉を継げない私を見て、サイラスは我に返ったように言う。
「お嬢様、すみません。執事の分際で困らせるようなことを……。少し頭を冷やしてきます」
「あ……! 待って! その、サイラスは私のこと好きなの?」
背を向けて出ていこうとするサイラスの腕を、今度は私がつかんで引き止める。サイラスはすっかり動揺して、目を泳がせている。
それから観念したように言った。
「ずっと……お慕いしておりました」
その一言で一気に顔が熱くなるのを感じた。すごく驚いて、信じられなくて、けれど心の奥から喜びが込み上げてくる。
なんでだろう。すごく嬉しい。
まだ王子の婚約者だった頃、気まぐれに甘い言葉をかけられた時よりも、ずっとずっと嬉しい。