全てを恨んで死んだ悪役令嬢は、巻き戻ったようなので今度は助けてくれた執事を幸せにするために生きることにします
「つまり取り消したいってことじゃない! ひどいわ。私、とても嬉しかったのに」
昨日の今日で取り消すなんてあんまりだ。私は恨めしげにサイラスを見る。
ずっとお慕いしていましたって、私以外と結婚したくないって言っていたじゃない。もう自分の感情に気づかないふりをしなくていいのだと思ったら、すごく嬉しかったのに。
私の言葉にサイラスの顔がわずかに赤らんだ。それからぶんぶん首を振ると、真面目な顔になって言う。
「私とお嬢様では釣り合いません。お嬢様にはもっといい相手がいます」
「何よそれ。昨日も言ったでしょ? 私、あなたを幸せにしてあげたいの。あなたの望みは何でも叶えてあげたいのよ」
「私の望みなどで人生を誤ってはいけません」
「誤ってなんかないわ」
誤った人生というなら前回の人生のほうだ。私は愚かにもカミリアに暗殺者を差し向けて投獄された。
それに対してサイラスと生きることの何が間違いだと言うのだろう。
「サイラスまで私を捨てるの?」
悲しくなってそう尋ねたら、サイラスは明らかに動揺していた。
サイラスは私がジャレッド王子に婚約破棄され、大変傷ついたと思っている。遠回しに同じことをするのかと問われた彼は、言葉に詰まっていた。
「私がそうしたいの。私、サイラスといたら幸せになれる気がするのよ。それでもだめなの?」
「お嬢様……」
サイラスは私をじっと見つめ、何か言いかける。
その時、再びノックの音が響いた。
誰だろうと思いながら入るように言うと、侍女が遠慮がちに入って来る。そして言いづらそうに口を開いた。
「お嬢様、お話し中にすみません。旦那様がお呼びです……」
「お父様が? 一体何の用かしら」
「その……、実は聖女のカミリア様が神殿に向かう途中暗殺未遂に遭いまして……」
「暗殺未遂?」
私はぽかんとして侍女を見た。サイラスも目を丸くして驚いている。今回の人生ではもちろん、カミリア暗殺の依頼なんてしていない。
一体どういうことなのだろう。
昨日の今日で取り消すなんてあんまりだ。私は恨めしげにサイラスを見る。
ずっとお慕いしていましたって、私以外と結婚したくないって言っていたじゃない。もう自分の感情に気づかないふりをしなくていいのだと思ったら、すごく嬉しかったのに。
私の言葉にサイラスの顔がわずかに赤らんだ。それからぶんぶん首を振ると、真面目な顔になって言う。
「私とお嬢様では釣り合いません。お嬢様にはもっといい相手がいます」
「何よそれ。昨日も言ったでしょ? 私、あなたを幸せにしてあげたいの。あなたの望みは何でも叶えてあげたいのよ」
「私の望みなどで人生を誤ってはいけません」
「誤ってなんかないわ」
誤った人生というなら前回の人生のほうだ。私は愚かにもカミリアに暗殺者を差し向けて投獄された。
それに対してサイラスと生きることの何が間違いだと言うのだろう。
「サイラスまで私を捨てるの?」
悲しくなってそう尋ねたら、サイラスは明らかに動揺していた。
サイラスは私がジャレッド王子に婚約破棄され、大変傷ついたと思っている。遠回しに同じことをするのかと問われた彼は、言葉に詰まっていた。
「私がそうしたいの。私、サイラスといたら幸せになれる気がするのよ。それでもだめなの?」
「お嬢様……」
サイラスは私をじっと見つめ、何か言いかける。
その時、再びノックの音が響いた。
誰だろうと思いながら入るように言うと、侍女が遠慮がちに入って来る。そして言いづらそうに口を開いた。
「お嬢様、お話し中にすみません。旦那様がお呼びです……」
「お父様が? 一体何の用かしら」
「その……、実は聖女のカミリア様が神殿に向かう途中暗殺未遂に遭いまして……」
「暗殺未遂?」
私はぽかんとして侍女を見た。サイラスも目を丸くして驚いている。今回の人生ではもちろん、カミリア暗殺の依頼なんてしていない。
一体どういうことなのだろう。