全てを恨んで死んだ悪役令嬢は、巻き戻ったようなので今度は助けてくれた執事を幸せにするために生きることにします
「……そうよね、エヴェリーナ様はここ最近ずっとサイラス様と一緒にいて幸せそうだったもの」

「みんな、エヴェリーナ様が本当に好きだったのはサイラス様のほうだったんだって盛り上がっていたわよね」

「そもそも婚約破棄のときのカミリア様をいじめたという話も本当なのかどうか……」

 ジャレッド王子の耳にも人々の会話は入ってきているのだろう。だんだんと頬を紅潮させ、顔を怒りに歪ませ始める。

 ずっと女神のような笑顔を浮かべていたカミリアが、会場を見回して舌打ちするのが見えた。ちょっと驚いてしまった。

 呆然とヒートアップする会場の様子を眺めていると、ルディ様の姿が目に入る。彼はこの状況が気に入らないようで、苛立たしげに会場を見回していた。


(犯人は絶対ルディ様よね……。わかっているのに何も言えないのがもどかしいわ)

 今回の人生では極力避けていたけれど、前回の人生で私をそそのかしたのはルディ様だ。

 前回同様にカミリア暗殺未遂が起こっている以上、彼が私を通してではなく直接暗殺者に依頼したと考えるのが自然だろう。

 そう思うが、下手に前回のことを口にしてなぜそんなことを知っているのかと疑われるのは避けたい。私は悔しい思いでルディ様を眺める。

「エヴェリーナ」

 ルディ様を眺めながら唇を噛む私に、ミリウスが近づいてきた。
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