全てを恨んで死んだ悪役令嬢は、巻き戻ったようなので今度は助けてくれた執事を幸せにするために生きることにします
「兄上が悪かった。ここは騒がしくていづらいだろうからもう帰っていいぞ。後は俺が何とかしておく」

「ミリウス様、あの、ありがとうございました。助けてくれて」

「気にするな。お前がしてくれたことを返しただけだ」

 ミリウスはそう言うと曇りのない笑みをこちらに向けた。彼にこんなに邪気のない態度を取られるのは初めてで、つい戸惑ってしまう。

「お嬢様、行きましょう」

「え、ええ。サイラス。ミリウス様、本当にありがとうございます」

「気をつけて帰れよ」

 私はミリウスにもう一度お礼を言うと、サイラスに促されるまま出口まで向かった。


「待て、エヴェリーナ! 話は終わっていない!」

 後ろからジャレッド王子の叫び声が聞こえてくるが、ミリウスに制止されて追いかけては来れないようだった。

 私はサイラスと二人、騒がしい会場を後にした。
< 176 / 197 >

この作品をシェア

pagetop