全てを恨んで死んだ悪役令嬢は、巻き戻ったようなので今度は助けてくれた執事を幸せにするために生きることにします

「お嬢様、ご友人からお手紙が届いていましたよ」

「まぁ、ありがとう。ちょうどよかった。あなたに話したいことがあったの」

 騒がしい日常の中でやっと時間を見つけ、部屋で一息ついていると、サイラスが手紙を持って部屋にやって来た。

 私は笑顔で彼に駆け寄る。サイラスは目を細めて首を傾げた。

「なんでしょうか? お嬢様」

「あのね、結婚の件だけど、なんとかお父様に認めさせられそうなの」

 そう報告したら、微笑んでいたサイラスは途端に慌て顔になる。

「お嬢様、そんなことをしてくださらなくていいと言ったではありませんか……!」

「でも、今はお父様も前向きに検討してくれてるのよ? 最初は結構反対されたけど、認めてくれないなら家を出て平民になるって言ったら、大分悩んでた。
最近はお前は跡取りでもないのだし、通常とは違う結婚をしてもいいかもしれないなんて言いだしてるの」

「お嬢様、いけません。そんなことを言って旦那様を困らせては」

 私はその後も何度も私は大丈夫だ、私もサイラスと結婚したいと言ってみたが、サイラスは戸惑い顔を見せるばかりでちっとも喜んでくれなかった。

 その顔を見ていたらなんだか寂しくなってくる。
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