全てを恨んで死んだ悪役令嬢は、巻き戻ったようなので今度は助けてくれた執事を幸せにするために生きることにします
それからまた数日たったある日、私は王宮でマナーレッスンを受けるように言われ、登城することになった。
レッスンが終わると、私は一度ジャレッド様に挨拶してから帰ろうと彼の部屋まで向かう。扉の前に立つと、中からジャレッド様の声が聞こえてきた。
「なぁ、これ人目につかないように捨てておいてくれないか」
中に使用人でもいるのだろうか。私は扉の前で耳を澄ます。
「いいのですか? 刺繍が入っていますけれど……これは手作りではないですか?」
「手作りだからだよ。そんなもの使えると思うか? エヴェリーナにはこの前一応持っているところも見せておいたから、もう捨てても問題ない」
「しかし……」
中から聞こえてきた言葉に思わず息を呑んだ。
刺繍入りのハンカチ……? 私があげた?
中からはジャレッド様の声と、戸惑うメイドらしき人の声が聞こえてくる。私の足は凍りついたように動かなくなった。
ジャレッド様は喜んでくれたのではなかったのだろうか。
この前城を訪れたときだって、笑顔で「大事に使っているよ」と見せてくれて……。
頭が真っ白になり、何も考えられなかった。それでも中から人が出て来そうな気配がすると、私は慌てて扉の前から逃げ出した。
レッスンが終わると、私は一度ジャレッド様に挨拶してから帰ろうと彼の部屋まで向かう。扉の前に立つと、中からジャレッド様の声が聞こえてきた。
「なぁ、これ人目につかないように捨てておいてくれないか」
中に使用人でもいるのだろうか。私は扉の前で耳を澄ます。
「いいのですか? 刺繍が入っていますけれど……これは手作りではないですか?」
「手作りだからだよ。そんなもの使えると思うか? エヴェリーナにはこの前一応持っているところも見せておいたから、もう捨てても問題ない」
「しかし……」
中から聞こえてきた言葉に思わず息を呑んだ。
刺繍入りのハンカチ……? 私があげた?
中からはジャレッド様の声と、戸惑うメイドらしき人の声が聞こえてくる。私の足は凍りついたように動かなくなった。
ジャレッド様は喜んでくれたのではなかったのだろうか。
この前城を訪れたときだって、笑顔で「大事に使っているよ」と見せてくれて……。
頭が真っ白になり、何も考えられなかった。それでも中から人が出て来そうな気配がすると、私は慌てて扉の前から逃げ出した。