全てを恨んで死んだ悪役令嬢は、巻き戻ったようなので今度は助けてくれた執事を幸せにするために生きることにします
私は早速使用人寮のほうに向かった。
使用人寮への出入りは禁止されているけれど、私はろくに守っていない。けれど、一応人に見つからないように忍び足で歩く。
使用人寮の二階につき、サイラスの部屋を見つけるとノックした。
「サイラス!」
「お嬢様?」
外から声をかけると、中から驚いたような声が返ってくる。すぐさま扉が開いて、サイラスが顔を出した。
「お嬢様、またいらっしゃったのですか? 旦那様に怒られてしまいますよ」
「サイラス―」
涙目で手を掴むと、サイラスはぎょっとした顔をする。
「どうしたのですか!? なぜ泣いてるんです? 何かあったのですか!?」
サイラスは顔を青ざめさせて言う。
「中に入ってもいい?」
「はい、けれど、本当に何が……」
サイラスは私が目を赤くしているのを見て焦ったのか、いつもはなかなか部屋に入れてくれないのに、今日はすんなり中へ通してくれた。
「お嬢様、どうぞおかけください」
「うん」
サイラスが椅子を用意してくれたので、言われた通り腰掛ける。
それから今日王宮であったことを話そうとして、ふと棚の上に置かれた籠が目に入った。籠の中には、見覚えのある白い布が見える。
私は棚のほうまで歩いていく。
「お嬢様?」
「これ、私の刺繍したハンカチ?」
近づいて見てみると、それはやはり私があげたハンカチだった。白い布に不格好なドラゴンが縫い付けられている。明らかに失敗作とわかる出来のものだ。
しかし、ハンカチは綺麗に折りたたまれ、丁寧に籠に入れた状態で棚の上に置かれている。
使用人寮への出入りは禁止されているけれど、私はろくに守っていない。けれど、一応人に見つからないように忍び足で歩く。
使用人寮の二階につき、サイラスの部屋を見つけるとノックした。
「サイラス!」
「お嬢様?」
外から声をかけると、中から驚いたような声が返ってくる。すぐさま扉が開いて、サイラスが顔を出した。
「お嬢様、またいらっしゃったのですか? 旦那様に怒られてしまいますよ」
「サイラス―」
涙目で手を掴むと、サイラスはぎょっとした顔をする。
「どうしたのですか!? なぜ泣いてるんです? 何かあったのですか!?」
サイラスは顔を青ざめさせて言う。
「中に入ってもいい?」
「はい、けれど、本当に何が……」
サイラスは私が目を赤くしているのを見て焦ったのか、いつもはなかなか部屋に入れてくれないのに、今日はすんなり中へ通してくれた。
「お嬢様、どうぞおかけください」
「うん」
サイラスが椅子を用意してくれたので、言われた通り腰掛ける。
それから今日王宮であったことを話そうとして、ふと棚の上に置かれた籠が目に入った。籠の中には、見覚えのある白い布が見える。
私は棚のほうまで歩いていく。
「お嬢様?」
「これ、私の刺繍したハンカチ?」
近づいて見てみると、それはやはり私があげたハンカチだった。白い布に不格好なドラゴンが縫い付けられている。明らかに失敗作とわかる出来のものだ。
しかし、ハンカチは綺麗に折りたたまれ、丁寧に籠に入れた状態で棚の上に置かれている。