全てを恨んで死んだ悪役令嬢は、巻き戻ったようなので今度は助けてくれた執事を幸せにするために生きることにします
「はい、お嬢様にいただいたものです」
「こんなに丁寧に扱うことないのに……」
もともと処分してもいいと思っていたものだ。こんな風に大事に扱ってもらうようなものじゃない。
頑張って成功したと思っていたハンカチですら、ジャレッド様には迷惑がられてしまったのに……。
しかし、戸惑う私に向かってサイラスは少し照れたように言う。
「どれも愛らしいので、適当に扱うなんてできません。……きっと、お嬢様がひとつひとつ頑張って縫われるのを見ていたから余計にそう感じるのでしょうね」
その言葉を聞いて、胸がいっぱいになってしまった。
さっきまでの悲しい気持ちがどこかに消えていくのを感じる。もう慰めてもらう必要はなかった。その言葉で十分救われてしまったから。
私は思わずサイラスに抱き着く。
「わっ、お嬢様、使用人に抱き着いてはいけないと……」
「ありがとう、サイラス」
お礼の言葉が震えてしまう。嬉しいのに、なんだかまた泣きそうになる。
「お嬢様……」
「今度は失敗作じゃなくて、サイラスのために刺繍したのをあげるわね! だからそれも大事にしてね」
「そんな、お嬢様にお時間を取らせるのは申し訳ないです」
「私があげたいの! いいでしょ?」
そう尋ねると、サイラスは迷うように視線を彷徨わせる。それでも何度も作ってあげると繰り返していたら、ようやくうなずいてくれた。
私は早速、頭の中でサイラスにあげるならどんな刺繍がいいかしらと想像を巡らせる。
ああ、もう全然悲しくない。なんだかとっても幸せな気分だった。
「こんなに丁寧に扱うことないのに……」
もともと処分してもいいと思っていたものだ。こんな風に大事に扱ってもらうようなものじゃない。
頑張って成功したと思っていたハンカチですら、ジャレッド様には迷惑がられてしまったのに……。
しかし、戸惑う私に向かってサイラスは少し照れたように言う。
「どれも愛らしいので、適当に扱うなんてできません。……きっと、お嬢様がひとつひとつ頑張って縫われるのを見ていたから余計にそう感じるのでしょうね」
その言葉を聞いて、胸がいっぱいになってしまった。
さっきまでの悲しい気持ちがどこかに消えていくのを感じる。もう慰めてもらう必要はなかった。その言葉で十分救われてしまったから。
私は思わずサイラスに抱き着く。
「わっ、お嬢様、使用人に抱き着いてはいけないと……」
「ありがとう、サイラス」
お礼の言葉が震えてしまう。嬉しいのに、なんだかまた泣きそうになる。
「お嬢様……」
「今度は失敗作じゃなくて、サイラスのために刺繍したのをあげるわね! だからそれも大事にしてね」
「そんな、お嬢様にお時間を取らせるのは申し訳ないです」
「私があげたいの! いいでしょ?」
そう尋ねると、サイラスは迷うように視線を彷徨わせる。それでも何度も作ってあげると繰り返していたら、ようやくうなずいてくれた。
私は早速、頭の中でサイラスにあげるならどんな刺繍がいいかしらと想像を巡らせる。
ああ、もう全然悲しくない。なんだかとっても幸せな気分だった。