全てを恨んで死んだ悪役令嬢は、巻き戻ったようなので今度は助けてくれた執事を幸せにするために生きることにします
しかし驚いた様子だったのも一瞬のことで、ミリウスは言葉を続ける。
「なるほど。王子に婚約破棄された腹いせに、執事を連れ回していると」
「ミリウス殿下、失礼ながら今日は私がエヴェリーナお嬢様に頼んで来ていただいただけで……」
サイラスが口を挟もうとするが、私は止める。
「サイラス、いいのよ。連れ回しているのは否定できません。けれど婚約破棄された腹いせなんかではありませんわ。そもそもジャレッド王子に婚約破棄されたことなんて、もう全く気にしていませんの」
馬鹿にしたようなミリウスの顔は気にしないことにして、笑顔で言葉を返す。早く行ってくれないかなぁなんて思いながら。
「新しい男がいれば元婚約者などどうでもいいというわけか。それはそれは、公爵令嬢ともあろうものが節操のないことだ。少しはカミリアを見習ってはどうだ? カミリアはあまたの貴公子が求婚しても、兄上に一途だったぞ」
笑顔でいようと思ったけれど、つい顔が引きつる。
この男は、一回目の人生では確かに婚約破棄後もジャレッド王子が諦められない私に向かって、「振られたのだから潔く身を引くべきだ。執念深い女は恐ろしい」とか言っていたはずなのだ。
結局文句を言いたいだけなのだろう。
大体、カミリアが一途だなんて、本気で思っているのだろうか? カミリアはジャレッド王子と婚約する前は、ミリウス王子をはじめそのあまたの貴公子とやらに愛想を振りまいて、代わる代わる逢瀬を重ねていたような気がするんだけれど。
一度目の人生では、王子との婚約後も影に隠れるようになっただけでそれは変わらなかった。今回も多分同じだろう。
けれど、ここで口に出すことでもないと思い、言葉を呑み込む。これ以上話を続けると向かいの席で何か言いたげに肩を震わせているサイラスに我慢の限界がくるかもしれない。無難に切り上げるべきだ。
「なるほど。王子に婚約破棄された腹いせに、執事を連れ回していると」
「ミリウス殿下、失礼ながら今日は私がエヴェリーナお嬢様に頼んで来ていただいただけで……」
サイラスが口を挟もうとするが、私は止める。
「サイラス、いいのよ。連れ回しているのは否定できません。けれど婚約破棄された腹いせなんかではありませんわ。そもそもジャレッド王子に婚約破棄されたことなんて、もう全く気にしていませんの」
馬鹿にしたようなミリウスの顔は気にしないことにして、笑顔で言葉を返す。早く行ってくれないかなぁなんて思いながら。
「新しい男がいれば元婚約者などどうでもいいというわけか。それはそれは、公爵令嬢ともあろうものが節操のないことだ。少しはカミリアを見習ってはどうだ? カミリアはあまたの貴公子が求婚しても、兄上に一途だったぞ」
笑顔でいようと思ったけれど、つい顔が引きつる。
この男は、一回目の人生では確かに婚約破棄後もジャレッド王子が諦められない私に向かって、「振られたのだから潔く身を引くべきだ。執念深い女は恐ろしい」とか言っていたはずなのだ。
結局文句を言いたいだけなのだろう。
大体、カミリアが一途だなんて、本気で思っているのだろうか? カミリアはジャレッド王子と婚約する前は、ミリウス王子をはじめそのあまたの貴公子とやらに愛想を振りまいて、代わる代わる逢瀬を重ねていたような気がするんだけれど。
一度目の人生では、王子との婚約後も影に隠れるようになっただけでそれは変わらなかった。今回も多分同じだろう。
けれど、ここで口に出すことでもないと思い、言葉を呑み込む。これ以上話を続けると向かいの席で何か言いたげに肩を震わせているサイラスに我慢の限界がくるかもしれない。無難に切り上げるべきだ。