全てを恨んで死んだ悪役令嬢は、巻き戻ったようなので今度は助けてくれた執事を幸せにするために生きることにします
さすがにあの場に戻るのも気まずいので、着替えるとそのまま馬車に乗り込む。馬車の中でもサイラスはずっと悲しそうな顔をしていた。
「ごめんなさい。せっかく楽しい日だったのに、最後で台無しにしちゃったわね」
「お嬢様は何も悪くありません! すべてあの愚かで短慮なミリウス王子が悪いのです!」
謝ると、サイラスはすぐさま否定する。それから、顔を曇らせて消え入りそうな声で言った。
「……何もできず、申し訳ありませんでした」
どうしてサイラスが謝るのだろう。王子の横暴に対処なんてそうそうできるはずがないのだから、落ち込むことはないのに。そもそもサイラスは王子相手に止めに入ってくれたではないか。
「そんなことないわ。サイラスは止めてくれたでしょう?」
「しかし」
「私は気にしてないから、サイラスももう気にしないで」
そう言って笑ったら、サイラスは何か言いたげに口を開いた後、黙ってうなずいた。
「ねぇ、サイラス。私がどうして気にしないでいられるかわかる?」
「……わかりません。お嬢様はもっと怒ってもいいと思います」
サイラスは真面目な顔で、そうきっぱり言う。
「サイラスがそうやって私の味方をしてくれるからよ。ほかの人がどう言おうがどうでもいいって思えるの」
そう言ったらサイラスは目を見開いた。
「……私はいつだってお嬢様の味方です」
「ふふ、知ってるわ」
そう言って笑ったら、ミリウスに絡まれて水までかけられた直後だというのに、なんだかまた楽しくなってきた。
サイラスは心配そうな顔をしていたけれど、私は屋敷に着くまでずっとにこにこ笑っていた。
「ごめんなさい。せっかく楽しい日だったのに、最後で台無しにしちゃったわね」
「お嬢様は何も悪くありません! すべてあの愚かで短慮なミリウス王子が悪いのです!」
謝ると、サイラスはすぐさま否定する。それから、顔を曇らせて消え入りそうな声で言った。
「……何もできず、申し訳ありませんでした」
どうしてサイラスが謝るのだろう。王子の横暴に対処なんてそうそうできるはずがないのだから、落ち込むことはないのに。そもそもサイラスは王子相手に止めに入ってくれたではないか。
「そんなことないわ。サイラスは止めてくれたでしょう?」
「しかし」
「私は気にしてないから、サイラスももう気にしないで」
そう言って笑ったら、サイラスは何か言いたげに口を開いた後、黙ってうなずいた。
「ねぇ、サイラス。私がどうして気にしないでいられるかわかる?」
「……わかりません。お嬢様はもっと怒ってもいいと思います」
サイラスは真面目な顔で、そうきっぱり言う。
「サイラスがそうやって私の味方をしてくれるからよ。ほかの人がどう言おうがどうでもいいって思えるの」
そう言ったらサイラスは目を見開いた。
「……私はいつだってお嬢様の味方です」
「ふふ、知ってるわ」
そう言って笑ったら、ミリウスに絡まれて水までかけられた直後だというのに、なんだかまた楽しくなってきた。
サイラスは心配そうな顔をしていたけれど、私は屋敷に着くまでずっとにこにこ笑っていた。