全てを恨んで死んだ悪役令嬢は、巻き戻ったようなので今度は助けてくれた執事を幸せにするために生きることにします
 舞台の上では、神官様がリスベリア王国の建国の歴史を述べていた。小さい頃から何度も聞かされている伝説だけれど、私は真面目な顔で話を聞く。

 ちらりと隣を見ると、ジャレッド王子がつまらなそうな顔で神官様の話に耳を傾けていた。

 カミリアが出てくる場面以外には興味がないらしい。


「リスベリア王国は五百年前、英雄ベルンが女神リーシュの力を借り、争いの絶えなかった小さな国々を統一する形で建国されました。
建国以来、時間と愛を司る女神リーシュ様は、リスベリア王国全体に加護を与えてくださっています。……」

 いつも聞いている話のはずなのに、神官様の話が妙に耳に残った。

 カミリアのように聖魔法を使える者は、女神様からより強い加護を与えられているのだという。

 聖女とはなんだろう。カミリアの何が優れていたのだろう。

 私と彼女の、何が違うのだろう。
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