全てを恨んで死んだ悪役令嬢は、巻き戻ったようなので今度は助けてくれた執事を幸せにするために生きることにします
ついおかしなことを言ってしまったことを気恥ずかしく思いながらも、サイラスの手を引っ張って再び人混みの中をドレスショップ目指して歩く。
「ねぇ、サイラス。お店はあっちの方角で合って──……」
「あれ、エヴェリーナさん?」
お店を目指して歩いていたら、後ろから突然声をかけられた。振り向いてその人の顔を見た途端、一気に血の気が引くのがわかった。
「ル、ルディ様……?」
「こんなところで会うなんて奇遇だね、エヴェリーナさん」
ルディ様は人懐こい笑みを浮かべ、こちらに歩み寄ってきた。思わず逃げ出したくなるのをこらえ、何とか笑みを返す。
ルディ・クレスウェル。リスベリア王国の四代公爵家のうちの一つ、クレスウェル公爵家の長男。前回の人生で私を罠に嵌めた張本人だ。
ルディ様は裏なんて感じさせない明るい表情で、親しげに話しかけてくる。
「神殿に行ってきたの?」
「はい。ちょっと礼拝に……」
「僕もだよ。偶然だね。中で会えたら一緒に祭壇まで行けたのに残念だなぁ」
ルディ様は眉尻を下げて言う。
冗談じゃない。私はサイラスと礼拝に来たのだ。何が楽しくてルディ様と一緒に神殿を歩かなくてはならないんだ。
顔が引きつりそうになるのをこらえて何とか無難に別れようと口を開くと、ルディ様は突然こちらに近づいて耳打ちしてきた。嫌悪感にぞわりと体が震える。
「元気そうでよかった。よかったらこの後一緒にお店を回らない? 少し話したいことがあるんだ」
「は……」
見上げると、ルディ様は綺麗な笑みを浮かべて自信満々にこちらを見ていた。断られるなんてまるで予想していないような顔。
話したいこととは十中八九、カミリアの件だろう。前回の人生と同じように彼は私をそそのかして罪を犯させようとしているのだ。
「ねぇ、サイラス。お店はあっちの方角で合って──……」
「あれ、エヴェリーナさん?」
お店を目指して歩いていたら、後ろから突然声をかけられた。振り向いてその人の顔を見た途端、一気に血の気が引くのがわかった。
「ル、ルディ様……?」
「こんなところで会うなんて奇遇だね、エヴェリーナさん」
ルディ様は人懐こい笑みを浮かべ、こちらに歩み寄ってきた。思わず逃げ出したくなるのをこらえ、何とか笑みを返す。
ルディ・クレスウェル。リスベリア王国の四代公爵家のうちの一つ、クレスウェル公爵家の長男。前回の人生で私を罠に嵌めた張本人だ。
ルディ様は裏なんて感じさせない明るい表情で、親しげに話しかけてくる。
「神殿に行ってきたの?」
「はい。ちょっと礼拝に……」
「僕もだよ。偶然だね。中で会えたら一緒に祭壇まで行けたのに残念だなぁ」
ルディ様は眉尻を下げて言う。
冗談じゃない。私はサイラスと礼拝に来たのだ。何が楽しくてルディ様と一緒に神殿を歩かなくてはならないんだ。
顔が引きつりそうになるのをこらえて何とか無難に別れようと口を開くと、ルディ様は突然こちらに近づいて耳打ちしてきた。嫌悪感にぞわりと体が震える。
「元気そうでよかった。よかったらこの後一緒にお店を回らない? 少し話したいことがあるんだ」
「は……」
見上げると、ルディ様は綺麗な笑みを浮かべて自信満々にこちらを見ていた。断られるなんてまるで予想していないような顔。
話したいこととは十中八九、カミリアの件だろう。前回の人生と同じように彼は私をそそのかして罪を犯させようとしているのだ。