全てを恨んで死んだ悪役令嬢は、巻き戻ったようなので今度は助けてくれた執事を幸せにするために生きることにします
「サイラス、見た? ルディ様のあの顔。おもしろかったわね!」
「お嬢様、その、申し訳ありません……」
サイラスの腕を掴んだまま言うと、なぜか気まずそうな顔で謝られた。
「え? 何が?」
「いえ、せっかくクレスウェル公爵家のご子息が声をかけてくださったのに、邪魔するような真似を……! もしかしたらいいご縁になったかもしれないのに」
サイラスは悲しげな顔をして、心底すまなそうに言った。
私が嫌がっているのを察して止めてくれたのではなかったのだろうか。しかし、いいご縁とは何なのだ。
「いいご縁ってどういう意味?」
「ルディ様でしたら独身で婚約者もいませんし、お嬢様の新しいお相手にふさわしい方だったのではないかと思いまして。
せっかくあちらがお嬢様と交友を深めたそうにしていらしたのに、私の勝手で申し訳ありません」
「やめてよ、気持ち悪い! なんてこと言うの!!」
サイラスが突然とんでもないことを言い出すので、私は思わず身震いした。
冗談じゃない。前回の人生で、あの男のせいで私がどれだけ地獄を見たと思っているのだ。私が投獄されたのもサイラスが死んだのも全てあの男のせいだ。
……いや、実際はうまく口車に乗せられて暗殺依頼をしたのは私なのだけれど。
でも、ルディ様の顔を見ると嫌悪感が止まらないのだ。八つ当たりだと言われてもいい。
「……お嬢様、ルディ様のことが苦手なのですか?」
「苦手っていうか嫌いね。顔を見るのも嫌。本当に嫌」
「そ、そうなのですか。なぜそこまで?」
私が顔を青ざめさせながら言うと、サイラスは若干戸惑っていた。けれど、その表情はどこかほっとしているようにも見える。
「深い事情があるの……。でも、サイラス、気づいていたわけじゃなかったのね。私が嫌がっているのを察して間に入ってくれたんだと思ったのに」
不思議に思ってそう言うと、サイラスは視線を逸らした。
「お嬢様、その、申し訳ありません……」
サイラスの腕を掴んだまま言うと、なぜか気まずそうな顔で謝られた。
「え? 何が?」
「いえ、せっかくクレスウェル公爵家のご子息が声をかけてくださったのに、邪魔するような真似を……! もしかしたらいいご縁になったかもしれないのに」
サイラスは悲しげな顔をして、心底すまなそうに言った。
私が嫌がっているのを察して止めてくれたのではなかったのだろうか。しかし、いいご縁とは何なのだ。
「いいご縁ってどういう意味?」
「ルディ様でしたら独身で婚約者もいませんし、お嬢様の新しいお相手にふさわしい方だったのではないかと思いまして。
せっかくあちらがお嬢様と交友を深めたそうにしていらしたのに、私の勝手で申し訳ありません」
「やめてよ、気持ち悪い! なんてこと言うの!!」
サイラスが突然とんでもないことを言い出すので、私は思わず身震いした。
冗談じゃない。前回の人生で、あの男のせいで私がどれだけ地獄を見たと思っているのだ。私が投獄されたのもサイラスが死んだのも全てあの男のせいだ。
……いや、実際はうまく口車に乗せられて暗殺依頼をしたのは私なのだけれど。
でも、ルディ様の顔を見ると嫌悪感が止まらないのだ。八つ当たりだと言われてもいい。
「……お嬢様、ルディ様のことが苦手なのですか?」
「苦手っていうか嫌いね。顔を見るのも嫌。本当に嫌」
「そ、そうなのですか。なぜそこまで?」
私が顔を青ざめさせながら言うと、サイラスは若干戸惑っていた。けれど、その表情はどこかほっとしているようにも見える。
「深い事情があるの……。でも、サイラス、気づいていたわけじゃなかったのね。私が嫌がっているのを察して間に入ってくれたんだと思ったのに」
不思議に思ってそう言うと、サイラスは視線を逸らした。