全てを恨んで死んだ悪役令嬢は、巻き戻ったようなので今度は助けてくれた執事を幸せにするために生きることにします
慣れない公爵家での日々は戸惑いの連続だった。
子供なので当然そんなに難しい仕事は任されなかったけれど、それでも貴族の家で失礼のないように働くのは簡単ではなかった。何度も執事長から叱られた。
家を出る日、手紙を送ると笑顔で送り出してくれた両親から返事がきたことは一度もない。そのうち私からも手紙を書くことはなくなった。
両親に見放されるように家を出され、公爵家で大人たちから叱られて。
大げさだけど、そのときは自分が必要のない存在のような気がしていたのだ。
「あなた、新しいうちの使用人ね。こんなところで何してるの?」
「エヴェリーナお嬢様……?」
庭の隅でうずくまっていたとき、目の前に現れたのはアメル家のご令嬢、エヴェリーナ様だった。
エヴェリーナお嬢様はピンクベージュの長い髪を揺らし、上からじっと私を見つめている。
「もしかして嫌なことがあったの? だから元気がないのね?」
「いえ、そういうわけでは……」
「じゃあ私が元気になるよう歌を歌ってあげる! この前先生に習ったの!」
お嬢様はそう言うと、明るい声で歌い始めた。お世辞にも上手とは言えない、子供らしい歌い方。歌い終わるとお嬢様は得意げにこちらを見る。
「どう? 元気になった? 素敵な歌でしょう?」
「はい。とても元気をいただきました。ありがとうございます」
お嬢様に歌を歌っていただいてそう言わないわけにもいかず、私はお礼を言う。
しかしお嬢様は納得がいっていないようだった。
子供なので当然そんなに難しい仕事は任されなかったけれど、それでも貴族の家で失礼のないように働くのは簡単ではなかった。何度も執事長から叱られた。
家を出る日、手紙を送ると笑顔で送り出してくれた両親から返事がきたことは一度もない。そのうち私からも手紙を書くことはなくなった。
両親に見放されるように家を出され、公爵家で大人たちから叱られて。
大げさだけど、そのときは自分が必要のない存在のような気がしていたのだ。
「あなた、新しいうちの使用人ね。こんなところで何してるの?」
「エヴェリーナお嬢様……?」
庭の隅でうずくまっていたとき、目の前に現れたのはアメル家のご令嬢、エヴェリーナ様だった。
エヴェリーナお嬢様はピンクベージュの長い髪を揺らし、上からじっと私を見つめている。
「もしかして嫌なことがあったの? だから元気がないのね?」
「いえ、そういうわけでは……」
「じゃあ私が元気になるよう歌を歌ってあげる! この前先生に習ったの!」
お嬢様はそう言うと、明るい声で歌い始めた。お世辞にも上手とは言えない、子供らしい歌い方。歌い終わるとお嬢様は得意げにこちらを見る。
「どう? 元気になった? 素敵な歌でしょう?」
「はい。とても元気をいただきました。ありがとうございます」
お嬢様に歌を歌っていただいてそう言わないわけにもいかず、私はお礼を言う。
しかしお嬢様は納得がいっていないようだった。